2012年9月20日木曜日

30年ぶりの「積木くずし」

先日、図書館に行ったとき、懐かしい本が目に入りました。

穂積隆信さんの「積木くずし」。
30年前に刊行され、社会現象を引き起こした本です。

当時は、娘さんの過激な非行ぶりばかりが
気になっていたけれど、
同じく思春期の子どもを持つ立場になった今、
親目線で、もう一度読んでみようと思い立ちました。

それは、私が思っていたのとは 全く違う、
愛情深い物語でした。

彼女は、あのときまだ13歳だったのですね。
中学一年生の女の子が、
シンナーを吸ったり外泊を繰り返すなんて
考えられないけれど、
彼女なりに、よっぽど苦しいことがあったのでしょう。

娘の非行に悩んだ末、ご両親は
警視庁少年課の「心理鑑別技師」の女性に相談に行きます。
その女性が、娘さんの治療のために
ご両親に約束させたルールとは……。
それまで、教師やカウンセラーに言われてきたこととは
かけはなれた内容でした。

・子どもが何をしようと決して叱ってはいけない。意見を言ってもいけない。
・子どもに話しかけてはいけない。何か言ってきたら、返事だけする。
・家に帰らなくても、絶対に探さず、放っておく。
・お金は一円も渡してはいけない。
・夜10時を過ぎたら、家に入れてはいけない。

父親は、「もし、外で何かあったら……」と心配しますが
それに対して彼女は、きっぱり言います。
「もしものことがあったら、それはお子さんの寿命です」

そのくらいの覚悟がないと、
子どもを救うことはできないというのです。

ご両親は、ものすごい葛藤を繰り返しながら、
(そして時々ルールを破って、こっぴどく叱られながら)
娘の問題に立ち向かっていくのです。

もちろんこのルールは、
特殊な状況にいる子どものための ものですが、
反抗期の子どもと対峙するときにも、
大いに参考になることがあると感じました。

「意見を言わず、子どもの行動を、愛情を持って黙って見ていること」。
ものすごく難しいけれど、 本当に正しいと思う。

人を育てるってことは、本当に命がけなんですね。

思いがけない本との出会いがあるのが、図書館のいいところ。
ちなみにうちの図書館バッグは、
実家の母が昔、コドモにつくってくれた保育園バッグです。

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